映画「ニッポンの嘘」を見てきた


映画「ニッポンの嘘~報道写真家 福島菊次郎90歳~」見てきました。

予告編の中で彼が発している言葉のどれもに、僕は強烈な説得力を感じてしまって、もう本編を見るしかないと確信したんだけど、その理由が明確に示されていました。

彼は責任の意味を知っている。反抗がもたらすものと、その為に犠牲にしなければならないものを知っている。そうして90歳に至る今まで、自分の信じる道を貫き続けている。彼の行為には嘘がなかった。実直に生を全うしている人間の言葉に、エネルギーが感じられないわけがないんだ。

個人的に言えば、彼の全てに共感はできない。しかし、彼の哲学の本質は、報道が本来追求するところの中立性を放棄して、偏向的なひとつの思想(弱者側)に内在化することでしか得られないフィルターがあると確信している点にあるだろう。僕はその重要性と資料としての価値を深く理解できる(*1)。

そして実際、彼の写真のいくつかを見て、僕は涙を抑えることが出来なかった。

どこかで反抗が決起する時、そこには反抗者なりの正当性が必ずある。その中に入りこみ、問題を引き受けることでしか写せない写真。彼は自分の正しいと信じる(決して中立的ではない)方へあえて染まりきって、それを世界に付きつけてきた。

映画の良し悪しを僕は言えない。ただ、このような生き方によって敗戦後の日本を写した写真家がいたということに強い衝撃を受けてしまった。

ここに感謝の意を表明しておこうと思います。福島菊次郎さん、そして監督と製作に携わった多くの関係者の皆様、人間の生き様の貴重なひとつを見せていただきました。どうもありがとうございました。

*1) 安丸良夫著『出口なお―女性教祖と救済思想』あとがき

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