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アイドルブームは宗教の代わりになりつつあるという仮説

昨今の日本のアイドルブームは、「信仰」の方向へと変容しつつあると思っています。

それをもっとも強烈に志向しているのが「ももクロ」です。仕掛け人たちがもし意識的にやっているんだとしたら驚嘆しますが、彼女たちのライブは文化人類学的に言えば脱魂型の儀式に似ています。偶像を媒介とした集団トランスの誘発です。「走れ」を聴けば多少は理解が早いかもしれません。

ももいろクローバー 走れ!
https://www.youtube.com/watch?v=M8KNbSKEH08

「アイドル」が擬似的な偶像崇拝の形態だというのは誰にでも理解できると思うのですが、今までエンターテイメントとしての側面が強かったものを、これほど信仰の方向へと推し進めたのは、ぼくは現行の宗教がどれもが現代人を救えていないからだと思っています。

国家神道にしても仏教にしても、宗教の多くが本質を置き去りにした空っぽの宝箱みたいに成り下がった結果として、人間存在の不安定さを全面的に請け負ってくれる「なにか」への渇望が現代人の根本に溢れかえっている。換言すれば、信仰を通じて「神秘の世界と接合したい」という欲求が満たされていない状況です。

そこにアイドルがハマりつつあると。

「神秘の世界」というのは、簡単にいえば自我の奥底をまさぐることに同意なので、「アイドルへの執心」が信仰的になればなる程に、「自分とは何か」が満たされるような高揚感に包まれやすくなります。つまり、「僕の居場所はここにあった」という感覚ですね。

考えてみればわかると思いますが、アイドルとファンの間で重要なのは、アイドルの本当の人間性ではありません。重要なのは、ファン個々人がアイドルに期待する溢れんばかりの幻想を、余すことなく請け負ってくれる存在としてのでかさです。地母神的な包容力です。それは自分の奥の方と世界とが確かに接合している充足感につながります。それは人間の本能的な信仰の形態なので、非常に求心力があります。

いまのアイドルブームは、確実に信仰の度合いを増しつつあります。ぼくはちょっともう引き気味なんですが、宗教が相変わらずいまのままなら、この状況はさらにバージョンアップしてゆくのではないかと思います。

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