「低視聴率ドラマは駄作」という致命的な間違い

高視聴率=良作だとして、低視聴率=駄作ではない

世間では、高視聴率ドラマは良作で、だから当然のように低視聴率ドラマは駄作という間違えた常識が定着してしまっている。確かに高視聴率は多くの人にとって良作の可能性が高いと言っていいが、では低視聴率は駄作かというと、実はそうとは言い切れない。正確に言えば、見る人を選ぶだけだ。その点について、ドラマ制作に携わる人たちのモチベーションを無駄に低下させないためにも、しっかりと認識しておく必要がある。

視聴率には致命的な欠点が2つある

なぜ低視聴率がそのまま駄作と言い切れないかというと、そもそも視聴率がとても欠点の多い指標からだ。その欠点を大きくふたつ指摘する。

ひとつ目は、ドラマをリアルタイムで視聴している人しか把握できない。つまり、近年増えつづける録画視聴やネット視聴がまったく無視されている点。ふたつ目は、視聴者の数は把握できても「支持率」が把握できない点。そもそも、視聴率は個人が見えづらい指標だ。テレビを付けているとして、流し見しているのか、あるいは悪意に満ちた感情で見ているのかわからない。一体、視聴者の何割が熱狂的なファンなのか把握できない。この2点が致命的な欠点となる。

だから仮に低視聴率だとしても、録画視聴やネットでは多く見られているかもしれないし、仮に熱狂的なファンの比率を計測できたとすれば、支持率は非常に高いものかもしれない。それが測れない現時点では、低視聴率ドラマを駄作と断定することは不可能ということになる。

低視聴率なのに良作の実例

上記の説を補強するための好例は間違いなく「鈴木先生」だ。この作品は放映時の視聴率が低迷し続け、とても成功とは言いがたいものだったが、熱狂的なファンが非常に多かったことで、DVD化してからも口コミで広がり、最終的に映画化するまでに至る。低視聴率でありながら支持率の高い作品はそのような経過をたどる。

実はスポンサーにとっても狙い目

スポンサーにとっても、低視聴率だけど良作を把握することはメリットにつながる。その最大のものをいえば、DVD化や映画化を後押しすることで熱狂的なファンに対して劇的な企業イメージ向上を促すことができる。素晴らしい作品を支持してくれるスポンサー企業の好感度が上がるのは必然だろう。

そもそも、テレビ局の営業がそのような売り込みを行うことだって可能なはずだが、低視聴率というネガティブなイメージに流され、最悪な場合には「打ち切り」などという選択をしてしまう。その選択が多角的に見て損益でしかない理由については以前エントリーに起こしている。

最後に

最終的にぼくの言いたいことはなにかというと、低視聴率を自虐的にネタ化すればするほどテレビ業界は見事に自滅しつづけるということだ。

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